摘発が相次ぐ「釘」問題を考える

omou-eye
我思う

11月10日付け 第132回

コンプラだのSDGSだの、西洋のスタンダードに日本も乗り遅れまいと、外来語の制約が続々と社会に取り込まれていく昨今。 グレーゾーンや曖昧な慣習を問題視し、白黒つける価値観は、一見健全に思えますが、 実のところ、逃げ道を塞ぎ、社会を殺伐とさせ、生きづらい社会を産むだけです。

デブにデブと言ったら、損害賠償どころか、侮辱罪で刑事罰を受ける世の中に誰がしたんだ?
少子化が進んでいるのに、不登校が増えているのはなぜだ?
今日もどこかで電車は止まっている。聞こえるっ!グモの音が。

日本だけでも、寛容な社会、国でありたいものだ。

こう書き始めると、私は「釘調整」に対し、肯定的だということがわかるでしょうが、個人の信条だけで判断できるほど、事はそんなに単純ではありません。

まずは、釘調整に関する基本的なルールや慣習について、僕の知っている範囲で「伝聞や推測を含め」解説します。

1,釘調整の違法性

パチンコパチスロ機は、厳しい検査や試験を通ったもののみ流通が許され、その過程から厳格に管理されています。
ただ、どうしても、機械ゆえ故障や不具合が出てしまうものです。
その際に、部品交換を伴う修理等を行う場合、K察に申請し認可(許可?)を受けなければいけません。

K察の承認を受け、修理、部品交換した場合「承認変更」となり、お咎めは受けませんが、この申請をせず部品交換等を行った場合は、「未承認変更」となり、風営法違反になるのです。
一方で、セレクターを外しコインの通り道を清掃したり、クルーン役物を研磨剤を使って磨いたりするのは「メンテナンス」扱いになり、K察への申請は必要ありません。

では釘は、、、?

2,釘調整の必要性

信じられないことかもしれませんが、釘って平気で折れるんです。
稼働率や設置台数にもよりますが、現実的な規模の店なら、1週間に数台くらいの割合で明らかに視認できるレベルで、稼働を通して一種の不可抗力で釘が折れ曲がるそうです。

おそらく、一切、釘を触らなければ、ひと月ほどで、全台の釘状態が検査を通った状況とはかけ離れた状態に変わっていることでしょう。(釘問題を理解する大前提)

では、どうやって、釘を元の出荷状態に戻すのか?
店舗側で釘を叩くしかないよね。
釘の状態は毎日少しづつ変わるわけで、それに合わせ、毎日、調整(戻す)するのが筋。(別に毎日じゃなくても、3~4日ごとでもいいです)

じゃあ、その度にK察に書類出して、お金(印紙代)払って、稼働を止めて、変更申請を出すのかっていう話しですよ。
現実的に無理ですよね。

なので、日々稼働により変化する釘の状態を出荷時のものに「店側」で戻す作業は「メンテナンス」の範囲内として認められているというのが、現状です。
当然の法解釈、運用だと思います。ここに違法性はなく、実に妥当。

3,釘調整の現実

メンテナンスの範囲としての釘調整は合法(という解釈)。
ですが、実態として、メンテナンスを口実に、釘調整で利益調節を行っているのが、皆さんもよく理解しているパチ屋の現実です。
程度の差こそあれ、ボッタ店も優良店も、大型店も弱小店も、みな、釘調整で利益調整しています。

ことの核心はここです。

目的はメンテナンスではなく、利益調節。ここが問題。
利益調節目的での釘調整は、未承認変更ですし、台の賭博性能を上げ、客の射幸心を煽る、風営法違反。なので、ほとんどの店では違法行為が横行している!わけです。

4,違法釘が摘発されない背景

すべての店が未承認変更されたイカサマ台で営業している実態は当然、K察の現場も理解していることでしょう。
しかし、摘発される店はほぼありません。ここ京都で、直近10年内に釘調整で摘発された店を私は知りません。(今回のルートワンを除く)

なぜなのか?

理由はいくつか考えられますが、(以下完全推測)今、すぐに思いつくには以下の通りです。

(1)立件のハードルが高い

稼働を通しての不可抗力の釘の変化なのか、店側の調整による変化なのか見極めが難しく、 また数ミリ単位の微妙な変化なため、摘発し、立件するのは現実的に難しいという側面があること。
いくらパチンコ担当のK官とは言え、所詮素人。釘の違いなんて目視でわかるわけがありません。 なので、事件として捜査し、摘発するのはよっぽどでは無い限り、「技術的に」難しいのだと思います。

おそらく今回摘発されたルートワン店は、誰の目にも明らかなほど、イベント日とその前後の日との「ヘソ」の大きさが違ったんでしょうね。
要は、やりすぎた。何より、下手過ぎた結果、技術的に立件が可能となり、クソイチに屈っすることになったと。

話しはそれますが、西東京福生にあるゲームセンター「たんぽぽ」。
あそこの釘は本当にすごいね。

回らなそうに見えて、回る。回りそうに見えて、回らない。
釘調整もリアルを意識しているらしく「ガチ」だそうで、これが本来の釘調整よ!というお手本のような釘です。

昔は、釘師という釘調整を専門にした職もあったように、釘調整は一つの技術だったんです。言うなら熟練の技。パチンコは一子相伝の伝統工芸品だったんです。 その証拠に、名古屋市などではふるさと納税の返礼品として、熟練工により釘調整された中古のスーパー海物語inカリブを選べるそうです。(大嘘)
ですが、今は、アホみたいな顔した若いパチスロ脳店長が、でっかい液晶が付いた下品な盤面の釘調整をやるものだから、とにかく汚い。
釘の数自体も少ないから、見てすぐ良し悪しがわかる。
ヘソと風車、もうそこだけが極端に開け閉めしてある。

だから掴まるんだよっ!!

(2)お目こぼし感を演出し、K察の優位性を再確認

釘調整を黙認することで、「俺たちはいつでもお前らをしょっ引けるんだぞ」という状況にしておく、というK察側の「悪意」も原因の一つでしょう。
K察は、グレーだからこそ、摘発をちらつかせることはしないまでも、極端な話し、接待や天下りといった見返りを得ることができるのです。
許認可制度がもたらす利権とも言うべき、こんなおいしい状況をなぜ自ら是正、自浄しなければいけないのか?
ましてや、被害者はおらず、釘調整でみんなハッピー。これぞまさしく近江商人の言う、三方良し(打ち手、店、K察)ではなかろうか?のお、近江屋。

(3)単純に取り締まる必要性が低い

もうパチンコは万年回収釘で導入後すぐワープとおまけポケットを潰し(=違法)、放置。後は、ホントにメンテナンスするだけという店は多いです。特に地方部。
むしろ、中小の過疎店などは、思い出したようにヘソをメンテナンスのついでに店長の「気持ち」分、開け閉めするだけという無気力店がほとんどだとすら思います。

ボッタ店では、ほぼ全台、導入時から撤去日までボーダー以下。
これがパチンコの現実なので、K察としてもわざわざ摘発する必要性を感じていないのかもしれません。

釘調整の実態に関する解説は以上です。
スマート機との関連についても書きたかったのですが、長くなってしまったので、一旦ここで筆をおきます。

個人的に、釘調整は目的が利益調整である以上、違法ではあるものの、 「節税」のようにある程度はお目こぼしがあって然るべきなグレーゾーンだと思います。
こういうのを厳格に取り締まるようになると、社会からは寛容性が失われ、強者が弱者を支配する構造がより強くなることでしょう。
そういったおぞましい未来は誰もが望まないところです。

お前らはどうお考えか?

続く

コメント

  1. esperhouseesperhouse より:

    あーーーーーーーー。
    たった今、スマスロは打つなという記事をアップしました。
    すなわち、景気のいい報告は当面できないということです。(ゲラ)

    間の悪さと言うのは天性の才能だと思うので、大事にしてください。(?)

    あ、でも、忙しくなるのはそうかもしれませんね。
    スマスロで回収できる分、イベント日にはきっちり旧来の台には設定が入るという構造になるでしょうから。

  2. とうもろこし より:

    難しい問題ですよね。。
    スロットで言うところの設定がパチンコでの釘調整と考えていますが若干違う感じもしますし。
    P機出始めの頃、設定付きパチンコがチョロチョロありましたが、釘調整が一律同じならと思いつつもそれも若干違う気が。。

    パチンコの出玉調整って結局は釘。
    でも釘調整はスロットの設定と違って分かりやすいのが問題だと思ってます。
    同じ台が10台あって朝から満席なら30分後の回転数見れば釘調整丸わかりですからね。
    それだとあからさま過ぎるので、
    全台ほぼ同じ回転率で調整する⇒ボーダー以下の台が量産される
    という流れになってるような。。

    とは言え最近の319はALL1500がほとんどで波が荒く、釘調整が良くも悪くも誤魔化せてるんですよね^^;
    殆どの人は釘じゃなくてデータカウンターばっか気にしてますし。(余談ですが自分はオカルト信者じゃないので爆発した後だから出ないとかは考えません)
    ボーダーマイナス3とかの調整でも、一撃で万発超えなんてザラにあるのでスランプグラフでは右肩上がりになってたり。
    甘デジとか羽根モノは釘調整の影響が出やすいですが。

    スマパチになっても釘調整はできるようなので、パチンコと釘調整は切っても切れない関係なのかなぁ
    ある意味釘調整があるから面白いのかもしれないですしね。
    一律同じ回転率なら設定付きパチンコに需要が出てきそうと一瞬思いましたが、今までのパチ打ちの人たちにはうけないでしょうし。

    なんか書いてて自分でもよく分からなくなってきましたw
    長文拙文失礼しました。

    • esperhouseesperhouse より:

      パチンコがスロットと違い、(期待値的に)クソ台であっても稼働する理屈は、荒さゆえでしょうね。

      割という概念で言うと、同じ105%ならスロットの勝率は比較的高く、多くの人が設定の良し悪し=最終的な出玉というイメージが付きやすいです。
      でも、パチンコで105%というと、ボーダー+3くらいですが、一般的なミドルだと、収支の幅はスロットの比ではなく、結果、釘(ボーダー)の良し悪し=最終的な出玉とはなりにくいんだ思います。
      20回ったところで、引けないときは10万くらいへーーーーきで負けますからね。

      一山当てるかどうかでその日の収支が決まる荒さを持つパチンコは、理論を超越し、欲が勝るようにできているんでしょう。
      多少極論ですが、宝くじが売れる理屈と似ているのかもしれませんね。「一度でも当てれば勝ち」が期待値と言う名の理論をブレイクする。

      • とうもろこし より:

        まさに仰る通り。宝くじの例えはシンプルで分かりやすいです。
        いまのミドル台はハイリスクハイリターンですからね。。

        やはり安定して勝ち星を増やすなら、高設定のスロかボーダー以上の甘デジがベストなのかな。

        そういえばサンダー打ちました!
        BB中は三連Vを一度やればOKという、目押し苦手な自分でも簡単にできましたw

        あ、今日からスマスロ導入でしたっけ。スロ派の管理人様は忙しくなりそうですね。
        景気の良い実践報告お待ちしております。